映画「A2-B-C」 と 菅谷昭 著「原発事故と甲状腺がん」

<ことわり>
ごめんなさい 取り留めもなくなが長々と書いてしまいました。
畑とは直接関係ないので、読み飛ばして頂いて構いません。
 
 
久しぶりの原発関連です。相変わらずイロイロ問題多いですが、
現在進行形という意味では、どうしたってこの問題からは避けては
通れません。日々様々な形で情報を得てはバージョンアップを
心がけております。
原発の問題だけではないけど、より多くの人と今起きている問題、
変えていきたいこと、ちっちゃな悩み、などを共有できたらいいと
心から思います。たとえそれが自分だけの問題と思っていても、実は
そうじゃないことは多いし、一人で解決・乗り越えにくいこともやはり
誰かと話すことで一歩進むことは多いよ。
別に自分はOKと思っているわけじゃないし、自分だって多くの友人に
少しづつ支えてもらっているからね。
 
と前置きが長くなったけど、まずは映画から
昨日周南で上映会+お話会ってのにさっちゃんと行ってきました。
堀永さんが主催でしたが、行ってみたら久しぶりだったり、
よく顔を合わせる人がいたり、まあそれだけでホッとする面もありました。
さて映画は、まずはイントロを読んで欲しいのですが、こちら
それから映画の予告編も見てほしいです。


タイトルの「A2-B-C」は福島県が行っている甲状腺の県民健康調査の検査結果のレベルです。
ここを話すと長くなるので、一言で言うとA1→Cと検査結果が悪くなるということです。
A1は問題なし、Cは甲状腺がんの疑いが濃厚という感じです。
タイトルからするとじゃあその甲状腺がんの検査のことを追っているのかと思うかもしれませんが、
一つのテーマであって、映画自体は3.11から約1年半後の伊達市の様々な状況を
監督が取材し、ドキュメンタリーにしているものです。
まず思うのは、ここに出てくる一般のかた(主に母親とその子)のその時のキモチ・思いを
記録にしたことの大きさです。ドキュメントは様々な形があると思いますが、写真と同じように
その時何が起きていたのかを記録しておくことは必ず後になって大切になります。
たとえそれが一見インパクトがなかろうとです。
だから自分はそれを残している監督のイアンさんと出演した方をリスペクトします。
伊達市の中ではマイノリティー放射能と正面から向き合い、悩み、日々苦しんでいる
方の思いはどこに行くのだろうか・・・ そんな映画です。
 
映画だから内容についてはあまり書きたくないので省略して、もし見る機会があったら、
必ず見てほしいです。変に聞こえるかもしれませんが、いたって普通の日常をカットし続ける
だけの映像です。でもそれはTVでは映らない(なぜ?)現実的なほんとただの現実なのです。これが。
 
私達はただ現実をいきるだけの人間だけど、畑をやって採れたものを食べて、子どもと
遊んで、喧嘩して、本を読んで、いっちゃえばそれだけのことをしているに過ぎない。
でもちゃんと今日一日を終わらせて、また同じかもしれない明日が来ます。(いまのところ)
もちろんいつくるかもしれない事故・災害・病気のことも頭に入れてるけども、
それは覚悟という意味であって、なるべくそのリスクを下げようと、避けようとしています。
でもね、放射能災害はその日常をずたずたに分断します。今日と同じ明日はくるけども、
毎日じわじわと心と身体を締めあげてきます。望むにしろ望まないにしろ。
この素晴らしく単純な日常がもし終わりのない、出口のない迷路のようなものだとしたら、
今日という一日が終わらずに、明日がくるとしたら耐えられるのだろうか・・・
なんか分かりづらい例えみたいだけど、努力をしても毎日が楽しく生きられなくなるもしくは、
心の底から楽しく生きられなくなるのかな って強く思ったわけです。
怖すぎる・・・自分はそう思います。
 
おっと全然映画の話じゃないぞ(笑) もう一度言います。とにかく上映されるのを運良く発見したら、
か・な・ら・ず見たほうがいいです。(←しつこい(笑))
 
本の方は 菅谷昭 著「原発事故と甲状腺がん」です。とてもオススメです。

 
こちらは最新ではないのですが、チェルノブイリ以後のベラルーシ甲状腺の専門医として5年間働き
、帰国後長野県松本市の市長を勤めている方の本です。
これまでずっと気になっていた甲状腺がんについての多くの解説、現地での経験と
福島周辺の汚染との対比。疫学的なデータではないけど、現地で得た情報など
今後の福島、ひいては日本に住むことの様々な問題をピックアップしていってくれます。
結局のところ、与えられている情報があまりにも少ないということに改めて愕然とします。
この本だけでは足りないけど、最低でもこのくらいの知識がないのはマズイと思いました。
 
自分はTV・新聞を見ないのではっきりしたことは言えないけど、これから
起こるであろう(かもしれないであろう)ことが全然わからない、伝えない。
別にTVが悪いのではなくて、どこか正しい情報のみが情報なのだ、という
勘違いが私達にはあって、それに情報を出す側が自主規制をかけるというか
このくらいだと責められないであろう程度にしか出てこないのかもしれない。
 
でもたとえ混乱・間違いがあろうとこちらが情報を鵜呑みにせず、2,3
の角度から考えるだけの気持ちを持てば、出し手も変わるのかもしれません。
 
それから改めて国のやり方、情報の出し方、あり方、言ってしまえば全部
マズイなあ と思いました。ある点にしぼるとそこが本当によく分かる。
除染や甲状腺がんだけでこうもヒドイのだから、集団的自衛権、TPP、オリンピック、
福島第一原発原発再稼働、ほんとどれも似たようなものだと思う。
やり方もそっくりだし。
だから、国が導きたい方向、誘導した方向、作りたい流れ、そういったある種
スケジュールというか取決めというか、線路みたいなものというか、
それが作られたもののなかでの茶番をばっちし見てやろう的な見方が
必要なんじゃないかな。
そういった考えや見方の必要性もこの本を読むととても感じます。
 
別にこの本が絶対に正しくて、国がおかしいと言ってるんじゃなくて、
ある問題に対して2,3の視点(情報)を持って、できたら友人とそれを
共有してさらに視野を広げて生きていけたらいいんじゃないかと思うんです。
 
映画、本を受けて改めて思うのは、
「人間には放射能放射性物質)を知覚できない、感じることも出来ない、
 味も匂いもない。」ということ。
小出さんも言ってた気がするけど、共存出来ない のですよ。
 
そのことを絶対にわすちゃいけないんですよね。
すご〜くあたりまえのバカバカしい結論でした。
長文を最後まで読んでくださってありがとうございます。
 
最後に現段階(平成26年3月31日現在)での福島県での甲状腺がんの数をのせておきます。
これまで甲状腺がんは100万人に対して1〜2人とされています。
それに対して福島県の調査では、287,056人中50人ががん確定で、39人ががん疑い(経過観察)
です。詳しくは下のリンク先を参照して欲しいです。
39人の方も癌の可能性が非常に高いので、89人と計算すると・・・
100万人にたいして310人となるようです。
あまりの数値に声が出ません・・・ でもこの数は公表されているものです。
そして声を大にして言いたいのが、「被ばくとの関連性はない」と結論づけていることです。
わからないではなくですよ。
自分にできることは、この問題を常に頭に入れて追っかけて行くことです。
甲状腺がん」このキーワードは忘れずにね。
福島県での甲状腺がんのより詳しい情報を知りたい方は こちら へ